インド旅行記 3

 今回の旅の目的は、夫が関わっているインドの環境NGOのプロジェクト視察がメイン、とはいえ一年分のスパイスとステンレス食器や布の仕入れ、インド料理の知見を広げることも重要な任務。「仕事なので、お願いします!」と両親に頼み込んで、騒がしいこどもたち3人を託しての旅は、すべての家事から解放される休暇の要素も十分に含まれていて、解放感に包まれる。

 インド初日の朝食は、見聞を広げるために、地下で行われているというバイキング形式に挑戦。チャイ(ミルクティ―)とマサラオムレツ(卵に青唐辛子とトマトとスパイスが入ったもの)、じゃがいものおかずをほんの少しだけお皿にとる。地下の食堂は殺風景で、換気がとても良いとは言えず、テーブルにはべたっとしたビニールクロスがかかっている。それでも給仕のお兄さんは一生懸命で、飲みかけのチャイのカップを気を利かせて下げてくれようとしたり、いそいそと料理を並べたりとなかなか熱心。

熱心な給仕のお兄さん
こんな空間にわたしちだけ、いささか心細い….

料理は恐れていたほどの質ではなく(国内外問わず、ビュッフェ=おいしくない、と思い込んでいるのです)、ほっとする。揚げたてのプーリ(揚げた薄い平パン)が出てきたので、このチャンス逃さじ、と「チャイをもう一杯ください」と言いながらキッチンに潜入、プーリを作っているところを見学させてもらう。

  

 ホテルでの朝食の偵察(!)をすませて、いざ外の世界へ!
マリーゴールドの花を糸に通したお供え物をつくっているおじさん、去年もおられましたね、と思いながら、礼拝堂のような建物に入ると、なんともゴージャスなインドの神々の偶像が電飾に囲まれて並んでいる。けれどもわたしの目を引くのは、窓や扉の細工や水をいれるための壷が窓辺にならんでいる様子。全体的には雑然とした埃っぽい空間のなかに、一筋の光が見えるこんな瞬間のために旅をしているような気がする。

今年もお会いできた、お花のおじさん
朝、ひとびとの生活がはじまる
光と影のコントラスト

昨夜インド上陸できたことにほっとして夕ご飯をやや無防備に食べてしまったからか、二人ともお腹に不穏な空気を感じつつあり、持参した梅肉エキスや陀羅尼介丸(去年劇的に効いた)を飲みながら、今日は、食事をなるべくとらないことにしようと協定をむすぶ(そうでもしないと好奇心に押し流されてしまう)。

 それでも屋台でワダとか、みんながうれしそうに食べている謎のヨーグルトのかかったぐしゃぐしゃスナックやら、ピンポン玉に緑色の水を注いでわんこそば風にどんどん食べるものを、この機会を逃したら一生食べられないかも…!.と思うとやはり、つい、食べてしまうのです。

なんとも形容しがたい人気スナック上の白いのはヨーグルトです
ゴールガッパ、というなぞのスナックをつくっているところ

どれも「すごくおいしい!」というよりかは「うーん、なるほど….」という感じなのだが、この屋台スナック、みんなが嬉々として食べているのを少し離れた場所から眺めているだけではなく、じわじわと距離を縮めながら、近くのひとにあれこれと質問して、最後に満を持して注文する、というのがインドで屋台を楽しむときの方法。質問の意図が通じることは少なく、だいたい見当違いの答えが返ってくるが、それもまたインドらしくてたのしいのでした。

椰子の実ジュースはやっぱりおいしい!
郵便局では列でななく、団子状に並びます。