2020/1/23
知り合いのオーガニック農家さんから「きゃべつがたくさんとれたけど、どう?」と電話があった日は、一も二もなく駆けつけます。きゃべつはもっとも好きな野菜のひとつで、生でも、火をとおしても、保存食にしても、そのおいしさをいかんなく発揮する、トライアスロン的野菜です。とても虫が付きやすいので、オーガニックのものをみつけることはむずかしく、さらには出回る季節が限られているので、スーパーでは一年中並んでいても、わたしにとっては、「手に入るとき、まったなしでとりかかるべき」野菜です。
きゃべつの無限の調理法
生で食べるときは、簡単に塩もみした浅漬け(塩分をすくなくしてサラダ感覚で食べる)、せん切りにして塩してしぼってドレッシングであえればコールスローに。ただのせん切りにポン酢やドレッシング(醤油+梅酢+ごま油)をかけたシンプルな一皿も捨てがたく、おいしいきゃべつなら毎日、永遠に食べ続けられます。
火を入れるなら、芯をつけたま大きく切り分けて、じりじりと長時間焼く「きゃべつのフライパン焼き」。これは甘みが際立って、奇跡的なおいしさです。玉ねぎ、にんじん、じゃがいもとたっぷりのキャベツのみじん切りでつくるスープはその素朴さゆえの、幸福そのものの味。つぶしたにんにくとベーコンを、太めのせん切りきゃべつをオリーブオイルで蒸らし煮にしたものは、仕上げにお酢すこしをいれるとうまみとともに、さっぱりといくらでもたべられます。
こんなふうにいかようにでも料理できるきゃべつですから、ひとつふたつあったところであっという間に食べ切ってしまいます。なので、ザワークラウトをつくるチャンスは、大量入手できたときのみ。今回は10キロ買ったので、6キロをザワークラウトに配分。かめを洗ってほして、家でいちばん大きなボウルを用意して、台所をすっかり片付けてしまってから作業に入ります。
ザワークラウトのレシピ
ザワークラウトはドイツの発酵保存食で、作り方は「塩もみして、容器につめるだけ」と限りなくシンプル。
<材料>
きゃべつ 1個(約1kg)
塩 20g(2%)
以下のものは、入れると風味がでます(なくても十分おいしくできるので、あれば、くらいの感じで)
赤唐辛子 1本
月桂樹 1枚(ちぎっておく)
ジュニパーベリー 3粒
キャラウェイシード 小さじ半分
<作り方>
1.保存容器(かめ、ガラス瓶、ホーロー容器などがおすすめ)を良く洗って乾かして熱湯消毒する
2.きゃべつを洗い、水切りし、重量を計る
3.重量の2%の塩を用意する
4.きゃべつを千切りにして(太さは好みで)塩をまぶしてキュッキュッと押し付けるようにしてもんで水分を出す。
5.唐辛子、月桂樹、ジュニパーベリー、キャラウェイシードがあるなら混ぜてもみながらまぜる。
6.容器に8分目以下に入れて(発酵するとあふれます!)、ふたを軽く締め(発酵するとフタが飛びます)、受け皿の上において(液体があふれます)、常温で5日~10日くらい光のあたらない場所に置きます。
7.泡がでてきて酸っぱい匂いがしたら、できあがり。ふたをしめて、冷蔵庫に保存します。
*冷蔵庫で2週間くらい寝かせてからが食べごろだそうですが、すぐに食べられます。保存は冷蔵で半年、と聞きますがすぐに食べ終わってしまいます。
ザワークラウトの食べ方いろいろ
<食べ方>
1.そのまま漬物として食べる(乳酸発酵なのでぬか漬けと一緒!古漬けに近い味)
2.肉、加工肉と一緒に煮込む(ドイツではソーセージやベーコンと一緒に煮た「シュークルト」をよくたべるそうです。
3.サンドイッチにはさむ(さっと焼いた薄切り肉+たっぷりのザワークラウト+粒マスタードがおすすめ)
4. かりと焼いたベーコン、茹でたじゃがいもとあわせてホットサラダに
わが家は500mlの瓶に分けてつめて、食べ切ったらつぎの瓶をあける、という具合にしています。透明な瓶だと冷蔵庫をあけたときにすぐに目にはいって「あ、ザワークラウトがある!」と気づくし、そのままテーブルにのせてもきれいです。食事がおわったら、ふたをしめてまた冷蔵庫へ入れれば、洗いものも増えません。
かくして我が家の冷蔵庫には、大量のザワークラウトが眠っており、あわただしい日々の食卓の救世主として出番を待ちかまえているのでした。