お弁当の日々

 日々のお昼はお弁当。平日は夫とふたり、休日はこどもがいるので5人分。そもそものはじまりは、休日の「みんなそろってお昼ご飯」がなかなかにストレスフルだったから。

 朝ごはんが終わったらすぐにお昼の時間になる。11時すぎには「おなかすいた!」と騒ぎ出す子もいるし、12時に「お昼だよー」と声をかけると「まだおなかすいてない」と浮かない顔をする子も。テーブルの上は書きかけの絵や朝ごはんのお皿、鉛筆やらPCやらが散らばっている。

 「テーブルの上を片付けて!」「お箸出して!」「食べる前に手をあらって!」と急き立てるような言葉がつぎつぎと自分の口から飛び出す。
やっと準備が整ったと思ったら電話が鳴ったり、兄弟げんかが始まったり、ちょうどよくゆであがったパスタはみるみるうちに冷めてゆき、わたしの頭は熱くなってくる。そして、不穏な空気の中で休日の昼食がはじまる…という繰り返しにいささかうんざりしていた。まったくどうしたことだろう。

「そろって食べる」ことを前提としなければいい?でも、テーブルにのせた食事が冷めてゆくのを見るのは忍びない。「準備のできたひとから食べる」ことにする?数時間後からっぽになった鍋を見て「まだ食べてなかった!」と癇癪をおこすこどもの姿が目に浮かぶ。

 誰もが冷めずに十分な量を食べられるようにするには….そうだ、お弁当だ! もともと冷めているのだから、冷める心配もない。一人分の分が決まっているから誰かが気にいったおかずを全部食べてしまうという事態もおこらない。

 しっかりおかずをつくらなくとも、漬物やふりかけ、塩昆布、それから保存食などを並べればなんとか形になるし、作ってしまえばわたしの身は自由になる。そう、お弁当しかない!

 ということで、週末の朝はお弁当に決まり。ご飯を7合炊いて、5つつのお弁当箱につめて、残りをおむすびにする(おむすびは朝ごはん)。ご飯はお弁当全体にならして入れ、おかずをその上にのせてゆく。

 おかずのスペースが決まっていると、隙間ができたり(卵焼きのたまごをもう一つ多くすればよかった!とか)、逆におかずが入りきらなかったりと意外とむずかしい。ごはんの上にのせてしまえば隙間も気にならないし、さらに汁気のあるおかずもご飯が受け止めてくれるから味がまざらずに食べられる。

DSC_8789

 お弁当はそもそも冷めている、と書いたが、実は詰め終えてから1時間くらいしたほんのりあたたかいお弁当がいちばんおいしい。おかずらしいおかずは1種類もあれば十分で(切干大根とかひじきの煮物とか)、あとは朝畑で収穫した野菜を茹でたり焼いたり。続いて冷蔵庫から瓶詰めをいくつもだして、のせてゆく。

 山椒のしょうゆ漬け、ゆずみそ、チャーテの奈良漬け、大根の漬物、生姜の梅煮。これらは分けていただいた貴重なお手製。梅干しやらっきょう、アチャール(インドのスパイシーな漬物)は自作。

 ごはんごとは毎日のことだから、息切れせずに続けていけるように。ずらりとならんだお弁当をながめると地味ながら、うれしいお弁当だなあ、と思う。

 唐揚げに卵焼き、ポテトサラダみたいなお弁当には激しく憧れがあるけれど、しばらくはこの「あるものでハッピーに」のスタイルで続けてみようと思う。