サンドイッチ

 いちばん好きな食べ物は、と聞かれたら迷わずサンドイッチ、と答えます。

 常から主食とおかずが合体した、最初から最後まで同じ味のするものが好きなのですが(途中で味が変わると頭が混乱して味がわからなくなる)、サンドイッチはそのなかでも特別です。なんというか、こう、軽やかで、朝昼晩おやつにといつ食べてもよくて、手で食べるので自由な感じもするのです。

 理想は、お店で買えないサンドイッチ。誰かがつくってくれるか、自分でつくるか。いずれにしても速度と即興性がポイントで(つまりあるもので素早くつくる)、自分で作るのであれば「サンドイッチがたべたい!」と思ってから15分以内に完成することが条件です。

 わたしのスタンダードサンドイッチは、ベーコンエッグサンドイッチ。フライパンでパンを焼いている間に(我が家にはトースターがなく、さらにパン焼きにつかっていた魚焼きグリルも故障)別のフライパンを火にかけて、油をしかずにベーコンを並べ、胡椒を多めに挽き、片面がかりっと焼けたところでひっくりかえして卵を割り入れ、黄身をつぶして全体を平らにして、その上から塩、胡椒。卵をひっくり返して(こうすると早く焼ける)、そうこうしているうちにパンがよい具合に焼けるので、お皿にのせて、その上にベーコンエッグ、あればケチャップとマスタード、冷蔵庫にあるレタス(なければ畑に走るかあきらめる)をあふれるほどにたっぷりのせて、上からオリーブオイルを回しかけて、ふたたび塩、胡椒をしてもう一方のパンをのせてできあがり。いっときは連日のようにつくっては食べていましたが、毎回食べるたびに、すばらしくおいしい。

 ここ数年抱き続けている夢は、たまたま立ち寄った友人宅で「お昼に(あるいはおやつでも)サンドイッチ食べていかない?」と言われて、思いがけずサンドイッチをごちそうになること。昨日の残りの豚の角煮とか、きんぴら、とか、ポテトサラダなんかがはさんであって「適当につくったからおいしいかどうかわからない」と言いながらお皿にのせられたサンドイッチは、その瞬間、世界でいちばんおいしいサンドイッチに違いありません。

 アメリカンな食事を好む母(365日朝食はベーグルとコーヒー)が時々つくってくれる食パンハンバーガー(牛ひき肉を丸めて焼いたの+マスタード+レタス+トマト、を食パンにはさむ)も好物のひとつです。

 先日はおいしいパテ・ド・カンパーニュがあったので、サンドイッチにしました。パテに味はついているけれど、それに加えて胡椒を多めに弾いて、サラダをたくさんのせてから、オリーブオイル、塩、ふたたび胡椒。あればマヨネーズやマスタードも。ぎゅっと半分にして、こぼれたサラダをフォークで口にはこびながら、ぐんぐん食べます。すっかり食べ終わってから、紅茶をたっぷり入れて、満たされた気持ちをさらに落ち着けるとバランスがよく、着地感があります。

ハムやベーコン、パテなど肉を挟むときは肉部分に直接「胡椒多め、レモンをしぼる」と完璧
こんな風にぎゅっと半分にします

 そのほか、ポテトサラダのサンドイッチやミートソース・オン・トーストなど、めくるめくサンドイッチの世界は無限にひろがりますが、それはまた次の機会に。お家ですばやくサンドイッチ、ぜひつくってみてください。