2022/12/24
ひさしぶりの南インドカレーを作った。
3年前、インドを旅したときに、スーツケースに詰め込んできたスパイスの残りはわずか。南インドならではの、酸味のきいたカレーに欠かせないタマリンドはとうに底をついていた。
インドのタマリンドは入手が難しく(ほぼタイ産)、さらにネットでの購入となると気乗りがせずに、気持ちがずいぶん遠ざかっていたところ、かつて知人が「タマリンドのかわりに梅酢を使った南インドのフィッシュカレー」をふるまってくれたことを思い出した。
そう、酸味はかならずしもタマリンドではなくてもいいはずだ。身近にあるもの…たとえば今の季節だったら高知の柑橘の直七(なおしち)にゆず、それから梅干し。手元にある「すっぱいもの」を寄せあつめ、勇気を出してえい!と鍋に入れたら、想像以上に「しっくりくる味」になって驚いた。
カレーは18人前とまずまずの量。それでも買い物は最小限がスリリング(トマトと玉葱、パパドがわりの餃子の皮とヨーグルト)。我が家の畑や方々からいただいた野菜と、スパイスとを思いつくままに組み合わせていけばいい。スパイス料理の美点は、どこまでも自由なところだと、手を動かしながらしみじみ思う。
3つの鍋にスパイシーな料理が満ちて、使いかけの野菜や使いきれずにいたもの、なにもかもが「あるべき場所」に納まって。
来年の、庭のカレーリーフが茂りはじめる頃に、また南インドカレー屋さんをやりたいな、と夢みるように思った雪降る1日。
photo: kettle_photo