ちいさな畑

 家の裏の石垣の上には、ずいぶん長らく放置された広大な土地があって、スコップ一本で開墾すること3年。ひろびろとはしているけれど、野菜を作っているのは一部なので、まだまだちいさな畑、です。

 およそ計画性というものに欠けているので、耕す時期も、種まきも、いつも思いつきで、気が付くとまき時期が過ぎてしまっていることもしばしば。肥料もほとんどやらず、草刈りも行き届かないので、ぱっとみたところこれが畑?という感じです。畑をすこしでもやっている方を案内すると、その混沌ぶりに絶句するか、あきれるかのどちらか。心やさしい方ばかりなので「ワイルドでよいですね」とか、「自由な感じですね」と言っていただけることもありますが、まあとにかくきちんとした畑でないことは確かです。
 
 それでもわたしにとっては、楽園。周りの畑上手なひとには尊敬と羨望のまなざしを送りつつ(ほんとうにすごいと思う)、ひたすら思いつくままに、あちらを耕し、こちらを耕し。まき時期が過ぎてしまっていても、かまわず種まきします。そんなふうだから、うまくゆかなくてもともと、そして芽が出たら飛び上がるほどうれしい。くじ引きのような畑です。

いただいた苗から育った春菊とターサイ 

 水やりもつい忘れてしまうので、苗作りも不得手です。なので、畑上手の方々から「苗、あまったんだけどいる?」と聞かれれば、嬉々としていただきます。今育っている、春菊やターサイ、リーフレタスにえんどうもすべてゆずっていただいた苗。いただいた苗の分だけ、草ぼうぼうの場所をあわてて耕して定植します。

こちらもいただいたきぬさや。その辺りに生えている竹を切って支柱にします

 得意なのは、適当に種をばらまいて、発芽したのをあちらこちらに植え替えること。11月に蒔いたミックスリーフの芽が12月中頃に発芽したので、大きくなるのを待ちながら、すこしづつ植え替えています。この方法、おそろしく効率が悪いのですが、それでも種まくときも、芽が出た時も、植え替えする時も、この上なく幸せなので、効率性やうまくいくことはすっかりあきらめてしまって、わたしはこのやり方でやっていこう、とようやっと思い定めたのでした。

あまりに遅い種まきでしたが、たくさん芽が出てくれました

 そして、一番好きなのはこぼれ種から芽がでること。花がさいて、実がなって、種ができたのを一部だけ種取して(一応種まきも念頭において)、そのまま放置しておくと、種が落ち、うまくいけば自然に芽がでます。とはいっても、なにをどこに植えたかすっかり忘れてしまっているので、うっかり耕してしまうと種は深く埋まってしまって芽がでません。なので、念のために、敷地のあらゆるところに種をばらまいておきます。買った種だと量が少ないので大事に、確実な種まきをするところ、自分の畑でつくったものからは、数百粒、数千粒の種ができるので、思う存分まくことができます。発芽率はかなり低いだろうとは思いますが、使う時間も労力もごくわずか(ちょっと右手を伸ばして種をとって、十数歩あるいてばらまくだけ!)、種の保存すらしなくてよいので、わたしにとってはベストの種まき方法。まったく芽がでなくても、残念がらずに同じ場所にまた別のものを蒔けばよいので、ストレスフリーでもあります。

 つい先日は、こぼれ種からカモミールの芽があちらこちらに出ているのを発見して、宝物をみつけたような気持ちに。あちらこちらに定植するのも、ポットに植え替えておすそ分けするのも遊んでいるように楽しい作業。初夏には、たくさんの花を摘みあつめて、一年分のカモミールティをつくるのを心待ちにしています。