2020/7/31
先日、抱えるほどのレモングラスをいただいた。高知は南国、高温多湿。梅雨から夏にかけては東南アジアの気候に近づくからか、レモングラスがよく育つ。見た目はすすきにそっくりで、宿根草なので一度植えれば毎年生えてくれる(冬は一旦枯れる)。庭や畑のあるならぜひ一株植えたらいいと思う。私の畑にも数株あるが、冬を越せずに枯れてしまったり、それほど大きく育たない。だから、両腕をまわしてやっと届くほどのレモングラスの大株を見る度に、おお、と圧倒される。
数年前に「昔植えたけどつかわないし、どんどん大きくなるから切ってしまおうと思う」とおっしゃるのをあわてて止めて、以来、時々いただきにあがる。鎌をつかって根本の方からバサバサと豪快に切ったものをそのまま渡されると、さわやかな柑橘に近い、すっとした香りがする。レモンそのものの香り、というよりもレモン味のお菓子の近い匂い。
そんなレモングラスの使い方はいろいろ。一番簡単なのはフレッシュハーブティー。適当に切って、お湯を注いで数分待つだけ。長く伸びた葉をそのまま使うよりも、はさみで1センチくらいに切った方が断面からエキスがでるからか、味も香りもよく出る。夏だったら、たっぷりつくっておいて冷ましておいてもいいと思う。フレッシュな葉を使うと、色もうつくしい黄緑色に、香りもくっきりとする。使いきれないくらいたくさんある場合は、乾燥させたり(根元をしばってつるしておくとすぐに乾く)、冷凍保存もできるとか。わたしは乾燥させたものを野草茶にもブレンドしている。
そして、レモングラスといえばエスニック料理!トムヤンクンが有名だけど、材料を揃えるのが大変そう。でもなんとなく近い味のものはつくれる。具を鶏肉としめじにして、レモングラス、生姜、赤唐辛子とトマトを入れ、味付けはナンプラー。パクチーやレモンがあったらなおいい。汗をかき牡蠣食べる、夏のごはんにぴったりだと思う。レモングラスは葉の部分ではなくて、茎の下の部分をすりこぎや石でたたいて繊維をつぶすと香りと味がよく出るそうなので、試してみようと思う。
タイカレーも作ってみたい。カレーペーストはつかわずに、
1.たたきつぶしたレモングラス、しょうが、にんにく、唐辛子
2.なす、しめじ、厚揚げ
3.ココナッツミルク
4.ナンプラー
5.スパイス(コリアンダー、クミン、ブラックペッパー)と砂糖
でなんとかできそうな気がする。あとは青唐辛子とパクチーがあればよりタイに近づくだろうか。
レモングラスと鶏肉、ナンプラーの炊き込みご飯もおいしそう。仕上げにはパクチー、レモン、黒胡椒をたっぷりと。鶏挽肉をレモングラスの茎を串がわりにして巻き付けて焼くのもいったいどんなものだろうかと数年来思い続けているので、今年の夏こそは作ってみたい。アジアまでひとっとびの気分になるタレは、ナンプラー、砂糖、唐辛子、にんにくと水でつくる。
料理はいつだって「たくさん手元にあるもの」からひろがってゆく。ふんだんに使えるからこそ、の一皿。梅雨が明け、いよいよ夏本番。レモングラス料理のはじまりの予感がしている。