2020/6/12
山のふもとの我が家から高知市内までは車でおよそ1時間。出かけるときは昼をまたぐので、たいがいお弁当を持ってゆく。お弁当とはいっても朝炊いたごはんを詰めて、その上に保存食を並べるだけのごく簡単なもの。毎回出発15分前にあわてて用意するので、見かけはかなりワイルド。
ごはんは玄米だとうれしい。簡素なおかずで十分満足するのと、体調が整うので、最近は朝、週に2、3回炊いている。
今日のメインは5月のはじめに作り始めたぬか漬け(きゅうりと大根)。 いただきもの山椒の醤油漬けと山椒味噌、 冬に仕込んだふきのとう味噌にインドの漬物アチャール、梅干し、それからまだ漬け途中のらっきょうを味見がてらの7種類。いずれも地味ながら味わい深く、玄米によく合う。味も多彩で、ある意味豪華。
弁当箱は、以前住んでいた京都で求めたもの。品よく簡素ないで立ちにすがすがしい木目、そしてあたたかな手触り。サイズ感も絶妙。白木の弁当箱は持ったときの乾いたやわらかさがうれしく、けれど内側に油や濃いおかずの汁がしみそうなのが気になっていた。そんな使い手の心もとなさを見透かしたかのように、内側が漆で仕上げられており、手間を惜しまぬ 配慮を感じた。一見シンプルなその弁当箱は、かなり緻密につくられていて、そして、なによりもその神社のような佇まいに惹かれた。理想の弁当箱との出会い。迷わず2つ求めた。
自宅で仕事をしているので、昼食は毎日家でとっている。昼に作業を中断したくないときは、お弁当形式にすることもある。加えて土日祝日は家族5人分のお弁当を昼食用に作る。ここのところ家族そろっての食事をとることが、スムーズにいかないことが多く、ならばと思い切って昼はお弁当にして、各自が自由に食べられるようにしたら、おどろくほど風通しがよくなった。
お昼前に「おなかすいた!おなすいた!」と叫んでいたこどもたちは「まだお昼前だけどお弁当たべていい?」と聞くようになった。熱心に工作をしているときは、作り終えたタイミングでお弁当を外のデッキに持ち出して食べている。ふたをあけたときの「わあ、たまごやき!」と喜ぶ声も聞こえる。ふりかえってみると「家族全員が一緒にご飯をたべるのが正しい」と思い込んでいたように思う。
つまり、私にとって、お弁当は「日々家で食べるもの」なのだ。そんなわけで、くだんの弁当箱はかなり使い込まれていて、はずかしながら扱いも丁寧とは言えないのだが、そんなヘビーユースにも耐える作りになっている。出会いはたしか7年前の夏だったと思う。何も知らずにたまたま立ち寄った個展。木から生まれた作品の静謐さが、その空間に満ちていた。あの日の偶然の不思議。そしていま、誠実な作り手による弁当箱に、日々の食事のありようをどれだけ支えられているだろうと、感慨深く思うのだった。
弁当箱 川合優
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