なます

 お正月のおせち料理でつくるのはお雑煮となますで、夫が黒豆を煮ます。だいたい31日になってから作り始めるのが恒例で、今年は大晦日の夜にお正月用のお餅をついて(前日にいただいた餅つき機で)、元旦の朝に出汁をひいて、なますづくり。

 なますは作るのも食べるのも好きな料理で、お正月でなくてもときどきつくります。大根とすこしの人参、そしてゆずがあればすぐにできるのが魅力。高知に来てからは、ゆず酢(ゆず果汁のことを柚子酢、とか柚ゆの酢、と呼びます)をたっぷり入れるレシピになりました。作り方はごくシンプル。仕上がったらいくつかのびんにわけて保存して、延々と食べ続けます。


材料:
大根2本
にんじん1本
塩適量(塩もみ用)

柚子6個
赤唐辛子1-2本
酢150cc
梅酢大さじ2
砂糖50g

1.包丁を研ぐ
 まず、包丁を研ぐところからはじめます。断面のなめらかさがなますの命。ほんのすこしでもいいから研ぎます。

2.大根と人参を千切りにする
 なるべく細い千切りにします。きざむそばから大きなボウルに入れて、塩をまぶします。切り終わったらお皿を裏返してのせておきます(ひかりや空気になるべくふれないように)。ゆずの皮を一個分、黄色い部分だけをそいで千切りにします。

3.あわせ酢をつくる
 割合は、 酢:ゆず果汁:砂糖=3:3:1で甘さ控えめですが、お好みで。
 お酢は富士酢プレミアムを奮発します。ふつうの富士酢でも十二分においしいですが、プレミアムは名前のとおり特別な味。値が張りますが、その価値は十分にあります。お正月用の買い出しをほとんどしないわが家ですが、このお酢だけは「お正月用」に購入します。
柚子はしぼります。高知は柚子の産地。11月中旬を過ぎると、あちらこちらから「柚子いらない?」の声がかかります。皮を使うのでぜひ無農薬のものを。柚子は、冷蔵庫に入れておけば、お正月までもちます。梅酢は塩分の調整とそうとはわからない程度の風味付けのために入れています。あるから入れている、くらいの感じなのでなくてもかまいません。
砂糖は身体に負担の少ないてんさい糖を使用しています。

4.野菜をしぼる
 塩した大根と人参からしっかり水分がでてから、しぼります。ざるでざっと水を切ってから、たっぷり手にとって9割方のイメージで(しぼりすぎに注意。味が抜けます)。このとき絞り汁が残りの大根にかからないように注意することで、透明感のある仕上がりになります。
 全部しぼったらボウルに入れて、あわせ酢の3分の1をまわしあえて、もう一度9割方しぼります。不要な水分を、野菜の味を引き出しながら出しすのがねらいです。
 ボウルを洗い、水気を切って(ちいさなことですが大事)、野菜、柚子 うすく輪切りにした赤唐辛子と残りのあわせ酢をよくよく混ぜあわせます。一般的にあわせ酢はたっぷりひたるくらいの分量を使うかと思いますが、なにしろ上等な酢とゆず果汁なので、最後に残る液体がなるべく少なくなるようにしています。

5.味をみて調整する

 もう一歩すすんだ美味しさにすることもできますが、時間がたつと味がなじんでくるのと、「やや物足りない」くらいの方が、たっぷりと、何日間も食べられます。一口でおいしい、と感じさせるものはたくさんは食べられません。つくったら、味がなじむのを待たずにすぐに食べられます(味がどう変化してゆくか確かめるのも大事)。


 今年は赤唐辛子が辛すぎたので、あわてて全部取り出しました。わが家は500ccの瓶に分けて入れ(レシピの分量で4つ分できます)ひと瓶がからになったら、次をあけます。入れたり出したりすることによって、なるべく空気に触れさせず、温度変化もさせないように。こうすることでフレッシュで清潔、まっさらな感じが保たれます。

残ってもし飽きてきたら(そんなことはほとんど起きませんが!)一度かるくしぼって、ナンプラーとレモン汁、あればコリアンダーのみじん切りを加えるとベトナム風なますになります。すこし砂糖を加えて甘めにしたり、唐辛子を入れて辛くしてもよいかもしれません。さっと焼いた薄切り肉となますたっぷりをサンドイッチ(パンは焼く)にすると、すばらしく意味!丼にしてもよいです。